画家との対話
兵庫 CoMoKU / 2023年6月4日
「画家に質問したり感想を伝えたりするように作品を鑑賞する」というコンセプトに惹かれ、訪問することを決めた。
展示されているのは主に神戸にゆかりのある現代の西洋画家の作品である。いくつかの作品にはキャプションがつけられ、そこで作品の一解釈を提示したり、観客に作品の解釈を問いかけたりしている。一般的に博物館では「個人的な解釈」を示すことはタブー視されているのではないだろうか。しかし、西洋画に疎い私にとっては、むしろそれが自分なりの鑑賞をするために役立った。情報を伝える役割に徹することが多い展示説明に双方向的な役割を与える面白い工夫だと思う。
ひと気の少ない展示室でじっくりと西洋画を鑑賞してみて、西洋画と日本画では鑑賞の手立てがかなり違いそうだと感じた。日本画には基本的に輪郭がある。私は、それを頼りに各物体を認識していくことで作品を鑑賞している。一方、西洋画には輪郭線がない場合が多く、その上、画の解像度も作者によってまちまちだ。物体同士の境界が溶け合っているため、画面の中の物体を意味づけしていくのに時間がかかる。そのせいだろうか。西洋画を見ていると日本画を見ているときに比べてひどく体力を消耗してしまった。西洋画に親しんでいる西洋人はどうなのだろう。